八幡浜市保内総合児童センター, 愛媛/Ehime JP(2017)

「八幡浜市保内総合児童センター」


    全体コンセプト

保育所と児童センター、二つの異なる施設をそれぞれ独立させながら、建築構成と形態言語を同様に揃えることで、エリア全体の統一感ある風景を創り出す。また駐車場・駐輪場を南(西)側にまとめ、保育所の送り迎えや児童センターの利用へ、各施設の出入口を近くに設置することでアクセスも一緒となり、2施設の相互利用も容易に行える。2施設とも東側に運動場を配置し、合わせて広く使用することもできる。構造壁を強固なRC造とすることで現実的な耐震・耐火のみならず印象としても力強い印象を与え、さらにその壁を視界や行動も考慮しながら斜めに角度を振ることで、オープンさとクローズさをコントロールしている。それにより外部に対し閉じ過ぎず開かれつつも必要なプライバシーに配慮された公共性の高い建築となる。同様に、屋根の傾斜も自然光を意識した傾きを与えながら、施設全体の外観のシーンを演出している。また、ビルのように退屈で大きな箱形ヴォリュームとは逆に、壁を面として浮き上がらせたり、屋根を分節化したりすることは、ヒューマンスケールから拡張され、街中での印象を和らげ、親しみを与える。構造体をはっきりと独立させることで空間自体の自由度を高め、そのシンプルでフレキシビリティの高い空間性はユーザーの多様で日々変化するニーズに応えることができる。


    保育所

玄関である出入口を広く取り、朝夕の混雑を緩和し、隣接する職員室では外部も含め安全管理がスムーズにできるようになっている。運動場に出やすい3歳児以上のクラスの保育室を1階東側に配し、廊下やコートヤードと運動場を繋ぎ、子供達が安全にかつ自由に学び遊ぶことができるようになっている。保育室内は、南北側にRC造の壁、東西側にガラス引戸で、構造壁を利用してパネルやロッカー・家具などを掛けたり設置できたり、各保育室が概ね同じ広さ同じ機能でありながらも、壁の角度が異なることや壁に開いた開口の高さの違いから起きる微妙な経験の変化も年を追うごとに味わえる。西側の道路側には、教員室のほか、更衣室や教員用トイレ、そして外部への直接アクセスを持つ利便性の高い厨房がある。隣家に近い北側には保育室や児童用トイレがある。コートヤードは屋内とフラットにフローリングで繋がり、開放的な間仕切の引戸を開けることで、廊下や保育室と繋がり、子供達が建物内でも走り回ったりすることができる。また屋根のないコートヤードには、夏用のプールを設置し、外からのプライバシーに配慮しつつ、十分な広さで水を楽しむことができる。出入口からすぐの階段で2階へ上がると、屋内で遊ぶことの多い2歳児クラスまでの保育室があるフロアーになっている。またみんなで広々と使える遊戯室や雨の日でも遊べる屋根付きテラスが配置されている。1階の保育室を東側、2階の保育室を西側にすることで、コートヤードを介して、上下とはいえ斜めに直接見ることができ、お互いを意識しながら過ごすことができる。1階2階ともグルッと回れる回廊のようなプランニングで、保育園内ではオープンで行き止まり感・閉塞感がなく、自由に動き回る子供達の身体特性を考慮している。


    児童センター

入るとすぐに受付・事務があり、不特定多数の利用者をここで管理する。また施設の機能も多様なため、利用者に対する案内所の役割も担っている。1階には、主に体育室を配置し、その高い天井を活かして、2階からも中の様子が分かり、試合などでは応援席のギャラリーにもなる。また東側の引戸を大きく開くことで、運動場とも直接繋がり、さまざまはイヴェントに利用可能となる。他に、体育室利用のための更衣室や運動場側から直接利用できるシャワーやトイレなどもある。また東西を横断している長いホワイエが出入口から運動場までを繋いでいる。ホワイエ中央にある上へ招くような形のゆったりとした階段を上がっていく。2階には、図書エリアや創作エリア、遊戯室を配置し、ホール部分と敷居なく繋がったワンルームのような空間になっていて、多様な利用にも対応可能となっている。また、家具などを上手に配置することで、ワンルームながらも各プログラムがしっかりと機能する。1,2階中央のホワイエを中心に、コンパクトな構成とすることで、どこにいても施設内の雰囲気を感じ、子供にとっても親にとっても安心で居心地良く利用できる。

構造設計 : 株式会社 エス・キューブ・アソシエイツ (京都)

製作協力 : 鈴木凜、真鍋遙、下田宇大、今井詩乃

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